室温で40年経過した血痕及びUV照射した(254nmと312nm)上皮細胞などダメージを受けた試料のDNA損傷について加水分解アルデヒド反応性プローブ(ARP)を用い、損傷DNAの脱塩基部位(apurinic/apyrimidinic sites)を測定した。メトキシアミがAP部位のアルデヒド基とほぼ1:1に反応することでAP部位を安定化するためにこの反応を利用して定量法はマイクロプレートにAP部位を持つDNA(AP-DNA)を固相化し、ARPを反応させた後、アビジン・ビオチン・ペルオキシダーゼ複合体を加えてから酵素基質溶液の吸光度の変化を測定した。標準検量線のもとで各試料のAP sites数を求め、血痕のAP変化とSTR検出について検討を行った。UV照射試料では3ヶ月後から変化と半年後の変化及びSTR検出についても検討を行った。AP sitesは一定のレベルになって3~4種類のSTRローカスの検出が困難となり、APE1(APエンドヌクレアーゼ)、Endo III(エンドヌクレアーゼIII)、Endo IV(エンドヌクレアーゼIV)、Endo V(エンドヌクレアーゼV)、Endo VIII(エンドヌクレアーゼVIII)、T4PDG(ピリミジンダイマーグリコシラーゼ)、Fpg(ホルムアミドピリミジン[fapy]-DNAグリコシラーゼ)、h OGG1(αアイソフォーム)、T7Endo I(T7エンドヌクレアーゼI)およびAfu UDG(E coliウラシル-DNAグリコシラーゼ)などを用い、DNA修復が可能であった。修復後のAP値はUV試料では照射前のレベルにならなくて2種類波長のUV照射によるSTR検出の明確の差がなかった。今後、照射日数を増やして、これらの変化を更に観察する必要があると考えている。
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