研究課題/領域番号 |
20590693
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金澤 素 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70323003)
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研究分担者 |
福土 審 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80199249)
渡辺 諭史 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (40431506)
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キーワード | 過敏性腸症候群 / 食物不耐性 / 腹部膨満感 / QOL / メシル酸カモスタット / 無作為比較化試験 / 直腸知覚 / 直腸平滑筋トーン |
研究概要 |
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome : IBS)の病態生理に炎症・免疫異常が何らかの役割を果たしているのではないかと考えられている。本研究は、食物不耐性がIBSの病態にどのように影響するかを評価し、肥満細胞から放出されるメディエーター活性化阻害作用を有する蛋白分解酵素阻害薬メチル酸カモスタットのIBS患者に対する有効性を消化管生理学的観点から検証することである。 研究1では、医療機関を受診中のRome診断基準を満たすIBS患者140例を対象として、アンケート調査を行った。症状のために食事回避をしている患者(少なくとも中程度以上「腹部症状のために食事に気をつけなければならない」患者、75例)は、そうでない患者に比較して、有意に重症度スコアが高値(p<0.01)であり、QOLスコアが低下(p<0.01)し、過去1年間の受診回数も有意に多かった(p<0.01)。また、6ヶ月間の追跡調査でも、その傾向は同様だった。結論として、通常の治療を行っても、食物不耐性があるIBS患者の症状は十分に改善されない可能性があることが示唆された。したがって、このような患者に対する新しい治療法を開発すべきであると考えられる。 研究2では、16例のIBS患者に対して、14日間のメチル酸カモスタットとプラセボの二重盲検無作為比較化試験を行った。現時点では、どちらの治療法に振り分けられているか開示していないため、薬物の有効性の評価はできない。しかし、全体では明らかな副作用を認める症例、脱落例は1例も認められなかった。治療14日後に症状重症度スコアが低下した症例は9例、不変1例、上昇6例であった。以上より、メチル酸カモスタットはIBS患者に対しても安全であると考えられる。さらなる症例が集積された後に振り分けを開示して、全般改善度、重症度の変化をメチル酸カモスタット群とプラセボ群で比較する予定である。
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