研究課題/領域番号 |
20590693
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金澤 素 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70323003)
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研究分担者 |
福土 審 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80199249)
渡辺 諭史 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (40431506)
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キーワード | 過敏性症候群 / 食物不耐性 / 腹部膨満感 / QOL / メシル酸カモスタット / 無作為比較化試験 / 直腸知覚 / 直腸平滑筋トーン |
研究概要 |
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome : IBS)の病態生理に炎症・免疫異常が何らかの役割を果たしているのではないかと考えられている。本研究は、食物不耐性がIBSの病態にどのように影響するかを評価し、肥満細胞から放出されるメディエーター活性化阻害作用を有する蛋白分解酵素阻害薬メチル酸カモスタットのIBS患者に対する有効性を消化管生理学的観点から検証することである。 32例のIBS患者に対して、14日間のメチル酸カモスタット600mg/日とプラセボの二重盲検無作為比較化試験を行った。患者16例(女性7例)に対してメチル酸カモスタットが投与され(カモスタット群)、患者16例(女性9例)にプラセボが投与された(プラセボ群)。治療前後で、症状重症度・QOLならびに消化管生理検査として大腸バロスタット検査を施行した。両群とも、明らかな副作用を認める症例、途中脱落例は1例も認められなかった。プライマリー・エンドポイントとして、最近1週間における満足な改善(adequate relief : AR)が「あり」と回答したものを有効例とした。その結果、カモスタット群において16例中6例に、プラセボ群で16例中8例にARが認められ、両群の有効率には統計学的上有意差が認められなかった。さらに、症状重症度、QOLについてもカモスタット群の有意な改善は示されなかった。 結論として、14日間のメチル酸カモスタットは臨床的にIBS患者の改善を導かなかった。今後、IBS患者におけるメチル酸カモスタットによる免疫、消化管生理に対する効果についての評価を実施する予定である。
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