蛋白エネルギー栄養障害(Protein-Energy Malnutrition : PEM)は「寝たきり」の主要な一因である。高齢者のPEMの原因として、主要な要因は、摂食・嚥下障害とAging Anorexiaである。前帯状回の活性低下が、器質的疾患のないAging Anorexiaと深く関与している可能性が高い。一方、人の適切な摂食行動には、視床下部摂食関連ペプチドのバランス不均衡に関与している可能性がある。そこで、今回、私は、既実験で得られた、Black Pepper Oil嗅覚刺激の意欲・motivationを司る前帯状回活性化作用を利用して、器質的疾患のないAging Anorexiaの高齢者に対する摂食行動低下改善を調査している。H20年、H21年度と計3施設における介入研究が終了し、ほぼデーターの収集が終了している。今後、まだ未測定の検体の測定や、データーの解析を行う。 現時点でまとまっている結果としては、Black Pepper Oilの嗅覚刺激群は、Placebo群と比較し、肺炎発症率が低い傾向を示している。また、誤嚥・摂食障害の原因となる転倒についても、きBlack Pepper Oil嗅覚刺激群のほうが、有意に転倒回数を抑制する結果がでている。 また、この嗅覚刺激群のなかには、全体的な意欲上昇とともに、食欲改善するものも出てきている。また、食欲低下している高齢者の血液データーでは、血清レプチン値が低値を示している傾向が認められている。
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