研究概要 |
1.研究の目的 喫煙者において禁煙前後の体重の変化と動脈硬化への影響を前向きに検討することで禁煙後の体重増加が動脈硬化のリスクとなりうるかどうかを明らかにする。 2.研究実績 (1)50人の男性喫煙者が禁煙治療を受け、28人が禁煙治療終了9週後まで禁煙を達成した。 (2)この28例においてBMIは禁煙治療終了1週後に有意に増加し(0.7+/-0.7kg/m^2,p<0.001))、その後治療終了9週間後(0.2+/-0.4kg/m^2,p<0.005))までにさらに増加した。 (3)血清アディポネクチン値は治療前と比べ治療終了1週間後には増加傾向は示したが、有意差は認められなかった。治療終了1週間後と9週間後との比較では、有意に減少した。(0.4+/-0.9ug/ml,p=0.02)HOMA-Rにおいては、治療前と比べ、治療終了1週間後、9週間後と徐々に増加したが、有意差は認められなかった。 (4)次に28例を治療前と比較したBMI増加率3%未満を体重維持群(n=10)、3%以上を体重増加群の2群に分け、これらを比較検討した。 (5)血清アディポネクチン値は、体重増加群では、治療終了1週間後と比較し、9週間後で有意に減少した。(0.8+/-0.9ug/ml,p=0.002)一方、体重維持群では、治療前と比較し、有意差は認められないものの治療1週間後、9週間後と徐々に増加した。 (6)HOMA-Rは、体重増加群では、治療前と比較し、治療9週間後で有意に増加した。(0.4+/-0.7,p=0.01)一方、体重維持群では、治療前後で差は認められなかった。 (7)頸動脈内膜中膜複合体、心臓足首血管指数、足関節上腕血圧比、血流依存性血管拡張反応は、禁煙前後の比較では有意差は認められなかった。
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