研究課題/領域番号 |
20590706
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高山 美智代 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60265824)
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研究分担者 |
新井 康通 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20255467)
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キーワード | 超高齢者 / 簡易式自記式食事歴法質問票(BDHQ) / 健康長寿 / 栄養疫学 / EPA(エイコサペンタエン酸) / DHA(ドコサヘキサエン酸) |
研究概要 |
栄養状態を良好に保つことは、免疫力向上、疾患予防、日常生活活動度の向上、認知機能の向上など高齢者にさまざまな利点をもたらす。高齢者では低栄養のリスクが高く、低栄養をきっかけに虚弱に陥り要介護状態になることが知られている。低栄養の予防は健康長寿達成のために極めて重要な課題であるにも関わらず、超高齢者世代(85歳以上者)の栄養疫学調査は国内外で不足している。その理由として、超高齢者の食事調査は験者・被験者双方にとって労力が大きいことが挙げられる。しかし、健康長寿を考える上で超高齢者の栄養疫学的評価は欠かすことができない。そこで、超高齢者でも信頼性・妥当性を担保しうる食習慣調査法を探索するために、簡易式自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いて信頼性と妥当性の評価を行った。<信頼性の評価>認知機能と身体機能の保たれた超高齢者37名を対象にBDHQを1年間の間隔をおいて2回行い、推定摂取エネルギー量と三大栄養素推定摂取量の相関を評価した。結果、Spearman相関係数r=0.63(エネルギー)、0.56(炭水化物)、0.65(蛋白質)、0.61(脂質)(p<0.01)であった。超高齢者の食習慣が安定していることと、ほぼ安定して回答する能力があることが示された。<妥当性の評価>BDHQを施行した534名の中から無作為に200名(男性100、女性100)を抽出し、赤血球膜の脂肪酸濃度を測定した。バイオマーカーとしてエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を用い、BDHQから推定したEPA・DHAの摂取量と血液中の赤血球膜EPA・DHA濃度の相関を調べた。結果、Spearman相関係数r=0.48-0.51(EPA)、0.40-0.42(DHA)(p<0.01)であった。以上より、BDHQは超高齢者にも有用な食習慣調査法として受容でき、疫学調査に活用できることが示された。BDHQを用いた検討で、「脂の多い魚を多く食べる食習慣」を有する超高齢者は、潜在性ビタミンD欠乏症と下肢運動機能低下のリスクが低いことが明らかとなった。今後、超高齢者の食習慣と虚弱、骨粗鬆症、認知機能障害との関連を栄養疫学的手法で縦断的に検討することを計画している。
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