研究課題/領域番号 |
20590707
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
|
研究分担者 |
加野 浩一郎 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80271039)
入部 雄司 日本大学, 医学部, 研究員 (20348618)
石毛 美夏 日本大学, 医学部, 助教 (90420950)
|
キーワード | 老年医学 / 脂肪細胞 / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
マウス下肢虚血モデルを用いて脱分化脂肪細胞(DFAT)の細胞移植に伴う生着性、安全性を検討した。 C57BL/6マウスの片側大腿動脈を結紮し、下肢虚血モデルを作成後、すでに調製保存してあるGFPトランスジェニックマウスより調製したDFAT(1x10^5)を、虚血部位に筋肉内投与した。そして経時的に組織学的検討を行い、DFATの生着性や血管構成細胞への分化能、さらに移植安全性を評価した。その結果、移植したDEATは、主に虚血瘢痕部位を中心に生着し、移植2ヶ月後まで検出可能であった。生着したGFP陽性DEATの一部は、脂肪細胞、筋線維芽細胞、血管内皮細胞などに分化している所見が認められた。移植後3ヶ月間にわたり、移植細胞の異常増殖や異所性骨形成などの異常分化所見は認められなかった。次に免疫不全(NOD・SCID)マウスの片側大腿動脈を結紮し作成した下肢虚血モデルに対し、QTrackerにて蛍光標識したヒトDFAT(1x10^5)を両側の大腿筋肉内に投与した。そして移植6ヶ月に至るまで経時的に両側大腿筋組織、肺、肝臓、腎臓、脾臓を採取し、肉眼的、組織学的に移植細胞の局在、分布、腫瘍形成の有無について検討した。その結果、虚血組織内では移植1ヶ月、正常組織では移植15日までは移植部位を中心にDFATが検出された。一方、虚血組織内では移植2ヶ月、正常筋組織では移植1ヶ月後からは移植したDEATはほとんど検出されなくなり、その後も検討したすべての組織において、細胞の増殖性変化や腫瘍形成などの有害事象は検出されなかった。以上の結果より、DFATは虚血瘢痕組織に効率的に生着し、腫瘍原性や異常分化を示さず安全に移植できることが確認された。これらの研究成果は、第10回日本再生医療学会シンポジウム(2011年3月東京)などで発表を行った。
|