本研究の目的はヘム・ポルフィリンの前駆体であるアミノレブリン酸を投与して、尿中ポルフィリン排泄が担癌患者に特異的に認められるか否かを判定し、その現象を用いて担癌状態にあるか否かをスクリーニングしうるかどうかを明らかにしうるかどうかを検討することにある。21年度は5例の患者にアミノレブリン酸を投与したが、1例で畜尿の不備、一例で患者の医師に基づく検討中止があり、3例の患者に検査を施行しえたのみであった。これらの患者の胃をを蛍光内視鏡を用いて検討した結果、がん特異的に蛍光が認められることが明らかとなった。また蛍光物質に関してHPLCで分析した。胃がん患者ではいずれも、正常人には認められないウロポルフィリンが24時間後に、コプロポルフィリンが12時間後に有意に高値をとることが明らかになった。 本課題の目的である「尿中ポルフィリン蛍光によるがんのスクリーニング」が可能であることを示唆する重要なデータである。 さらに腺腫ではこのような上昇は認められなかったが、線腫はまだ2例なので、統計学的な比較はできなかった。 アミノレブリン酸服用後4時間後に内視鏡を施行した結果、2/3の症例で、がん固有蛍光を認めたが、一例では胃体部全体に蛍光が認めれた。がんの組織型は3例とも高分化腺癌であり、組織型が理由とは考えられなかった。22年度はがん固有蛍光と尿中アミノレブリン酸の関係をさらに明らかにする計画である。
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