研究課題/領域番号 |
20590718
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
古田 隆久 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (10303546)
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研究分担者 |
西野 眞史 浜松医科大学, 医学部, リサーチアシスタント (10436975)
山出 美穂子 浜松医科大学, 医学部, リサーチアシスタント (10464124)
渡邉 裕司 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50262803)
小川 法良 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80308618)
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60198405)
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キーワード | NSAID / CYP2C9 / 胃粘膜傷害 / 遺伝子多型 / 個別化療法 |
研究概要 |
NSAID潰瘍のリスクファクターについて薬物動態の観点から検討を行い、個別化療法に応用することを目的に研究を行った。健常ボランティアに対しナプロキセンを内服後の胃粘膜傷害を評価し、胃粘膜傷害に関わる因子を検討した。CYP2C9*3アレル保持者で胃粘膜傷害の程度が高く、CYP2C9*3はNSAID潰瘍のリスクファクターと考えられた。しかし、CYP2C9*1/*1でも比較的重度の粘膜傷害を呈する例があり、この遺伝子多型のみでは、リスク評価に限界があると考えられた。そこで、^<13>C-naproxenを応用することとした。この化合物は代謝される際に13Cの部分が二酸化炭素、すなわち、^<13>CO_2となるため、内服後の呼気中に出現する^<13>CO_2はナプロキサンの代謝の指標となる。そこで、前述のボランティアに対して^<13>C-naproxen内服後の呼気中の^<13>CO_2とナプロキサン内服後の胃粘膜傷害の相関を検討したところ有意な相関関係をみとめたため、この^<13>C-naproxenはナプロキサンの胃粘膜傷害の予測マーカーと考えられた。同様の検討を他のNSAID(Indomethacin)で行ったところ同様な結果が得られたため、本試験はNSAIDの胃粘膜傷害の予測マーカーとなると考えられた。 そこで、新たにボランティアを募集し、ナプロキサン単独内服群(N群)、ナプロキサンとランソプラゾール内服群(NL群)、そして、^<13>C-naproxenを行いリスクの高いと判断された者のみナプロキサンにランソプラゾールを併用した(低リスクではナプロキサンのみ)テーラーメイド群(T群)を前向きに比較検討した。すると、N群に比較してNL群は有意に胃粘膜傷害が低値であったが、T群も同様にN群と比較して有意に低く、NL群と同様であった。今回もCYP2C9*3アレル保持者は^<13>C-naproxenにて高リスクと判断されていた。以上より、NSAIDの胃粘膜傷害にはNSAIDの代謝がかかわり、CYP2C9*3はリスク要因と考えられたが、^<13>C-naproxenも同様にリスクの予測マーカーとなりえると考えられた。
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