研究概要 |
消化管で惹起される管腔内抗原に対する粘膜の免疫反応を解析した。 標的抗原を産生する遺伝子組み換えH. pyloriを作成して、標的抗原特異的なT細胞抗原受容体を強制発現するマウスに感深させた。感染宿王マウスにIL-4, IFN-g. IL-12p40の遺伝子の欠失を導入し、胃粘膜の細胞回転、細胞死、浸潤細胞、胃炎の組織病理を定量的に解析した。 標的抗原に特異的な抗原受容体を有するマウスを用いることにより、H._pyloriの胃炎モデルをマウスで作成可能とした。宿主のCD4T細胞の産生するサイトカインが胃炎粘膜の細胞浸潤と細胞回転、胃粘膜萎縮を制御調節している可能性がしめされ、これはヒトのH. pylori胃炎の結果起こる組織病理の多様件を説明する機序の一端を示唆していた。 H. pylori胃炎患者で起こる細胞浸潤はT細胞が最多で好中球、形質細胞がこれに次ぐ。組織中ではTh1型の免疫反応か惹起されており、これほUrease Bに対する患者血清甲得意抗体のアイソタイプの分布からも支持された。次にTh1免疫応答に欠失のあるマーウスでは胃粘膜上皮の細胞回転の低下と粘膜上皮細胞の細胞死が惹起されていることより、加齢宿主で認められる委縮性胃炎と宿主免疫反応との関係が示唆された。Th1細胞の欠失は過剰の好中球浸潤を惹起することから細胞障害機序としてほ好中球による組織障害機序が関与するものと思われる。
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