1)EBウイルス陽性胃癌臨床検体およびEBウイルス陽性胃癌細胞株のDNAメチル化 (1)EBウイルス陽性胃癌の臨床検体の検討 EBウイルス陽性胃癌25例これに対応した陰性コントロール50例を対象に、腫瘍関連遺伝子のDNAメチル化をメチル化特異的PCR(MSP)により、検討した。EBV陽性胃癌に特異的に有意差を持って、メチル化が誘導されている遺伝子を同定しえた。 (2)EBウイルス陽性胃癌細胞株の検討 EBウイルス陽性胃癌細胞株SNU719を用いて、網羅的なメチル化遺伝子検索をおこなった。 MBD2 (methyl-binding protein2)に対するクロマチン免疫沈降法を施行し、メチル化を受けたDNA断片の抽出を行った。このDNAをDNA chipに応用することで、1000遺伝子あまりもの候補遺伝子が検出された。このうち、60遺伝子は腫瘍関連遺伝子であり、これらのうち19遺伝子についてMSPによる解析を行った。胃癌において、初めてDNAメチル化が証明された遺伝子を含まれており、(1)の臨床検体を用いて、EBV陽性胃癌に特異的にメチル化を受けている遺伝子を検索した。8遺伝子がEBV陽性胃癌群において、統計学的に有意にメチル化の頻度が高かった。脱メチル化剤などを投与により、これらの遺伝子の発現は回復し、検討したDNAメチル化が発現に関与していることが示唆された。 以上の結果より、EBV陽性胃癌の発生におけるDNAメチル化の関与の重要性が証明された。
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