研究概要 |
1.腸内細菌産生ペプチドの細胞内動態を明らかにする. バシラス菌由来の腸管保護物質であるcompetence and sporulation factor(CSF)を化学的に合成しFITC標識をした後,大腸癌細胞株Caco2/bbe cellsに添加した結果,15分後に細胞質内に取りこまれることを明らかにした.その後,30-60分後にその一部は核内に取り込まれていくことも明らかにした.したがって,バシラス菌由来の活性物質であるCSFはヒト腸管上皮細胞に取り込まれ,さらに核内へと輸送されることで生理作用を発揮することが示唆された. 2.MDR-1による細菌産生ペプチドの排出能を明らかにする. Caco2/bbe cellsにMDR-1 siRNAを導入し,MDR-1低発現細胞株を作製した.さらに,preliminaryな検討として,本細胞株に対しFITC標識CSFを添加して細胞内蓄積量を検討した結果,control細胞と比較して細胞内におけるFITCレベルの増加を認めた.すなわち,MDR-1はCSFの細胞外排泄にかかわっている可能性が示唆された. 3.MDR1の機能異常に起因する細菌産生ペプチドの蓄積と腸炎発症との関連性を明らかにする. 変異MDR-1遺伝子を作成した.現在,遺伝子導入における条件設定を行っており,次年度はこのin vivoモデルを用いて,IBD関連遺伝子異常と腸炎発症のとの関係を明らかにしていく.
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