研究課題/領域番号 |
20590739
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
辻川 知之 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80273407)
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研究分担者 |
藤山 佳秀 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70111896)
安藤 朗 滋賀医科大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90252395)
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キーワード | 脂肪乳剤 / クローン病 / TNF-α / RT-PCR |
研究概要 |
高脂肪食摂取がクローン病発症に関与していることが明らかにされている。しかし、クローン病患者の腸粘膜局所において、脂肪酸の直接刺激が本当に粘膜炎症を増悪させるのか、また、その炎症増悪がどのような免疫応答異常を介しているかについてはまったく明らかとなっていない。本研究では健常者とクローン病患者において小腸内視鏡検査時に脂肪酸を回腸末端に散布し、撒布前と撒布30分後の粘膜内サイトカイン(TNF-α)測定と粘膜内細胞浸潤の程度や浸潤細胞の種類を比較することによって、クローン病小腸粘膜における脂肪酸による炎症増悪の有無ならびにTNF-αの関与を明らかにすることを目的とした。小腸内視鏡施行前の説明では同意を得られにくく、現時点で6名から検体採取可能であった。この6名において脂肪乳剤散布前と後において生検を2個ずつ採取、ただちにトリゾール処理にてRNAを抽出した。RTの後、TNF-αmRNAを半定量的PCRで検討したところ、予想に反し脂肪乳剤散布後のほうがTNF-αmRNA量は低下を示す症例が4例と多く、平均値でも低下していた。一方IL-1βは6例中5例で上昇していた。クローン病治療に抗TNFα抗体は有効であり、脂肪摂取は病勢を悪化させる。一方、本研究にて短時間の脂肪刺激による局所での反応はむしろTNF-α産生抑制に働いていた。クローン病の慢性炎症下では、単回刺激の炎症惹起はむしろ制御する反応が見られる可能性が示唆された。さらに、サンプル数の増加および、コントロールとの比較検討中である。
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