研究課題/領域番号 |
20590741
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
筒井 秀作 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10359846)
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研究分担者 |
渡部 健二 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50379244)
木曽 真一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40335352)
吉田 雄一 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教 (30457014)
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キーワード | カハール介在細胞 / 消化管運動障害 / 2型糖尿病 |
研究概要 |
【背景・目的】2型糖尿病はしばしば消化管運動障害を惹起する。膜型チロシンキナーゼKITを発現するカハール介在細胞(ICC)は、消化管運動におけるペースメーカーであると考えられている。本研究では2型糖尿病性消化管運動障害におけるICCの役割を明らかにすることを目的としてそのモデルマウスを用いた解析を行った。【方法】2型糖尿病モデルマウスとしてdb/dbマウスを用いた。消化管運動は、胃排泄、全腸管通過時間、摘出小腸の自動運動能で評価した。ICCは平滑筋層内におけるKIT免染陽性細胞としてその面積を算出した。各消化管におけるKITリガンドであるstem cell factor (SCF)の発現量をRT-PCR法で測定した。【結果】糖尿病を発症した12週令db/dbマウスは対照マウスと比して、胃排泄と全腸管通過時間の遅延を認め、小腸の自動運動能はその正確なリズムが失われていた。同マウスにおけるICC面積は対照マウスと比して胃・小腸・大腸いずれにおいても減少していた。一方、糖尿病を発症する以前の5週令db/dbマウスのICC面積は対照マウスと比して同等で、あった。消化管におけるSCFの発現量は、12週令db/dbマウスの胃前庭部、小腸、大腸において対照マウスよりも減少していた。【結論】2型糖尿病モデルマウスdb/dbでは消化管運動が障害され、消化管におけるICC面積が減少し、SCFの発現量が低下した。2型糖尿病で消化管運動障害が発生する仕組みの1つにICC傷害の関与が示唆された。ICCが傷害される仕組みとしてICCの支持に重要なSCFの供給減少が考えられ、その背景の解明が今後の研究課題である。
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