マウスTh17型炎症に対する制御性T細胞の抑制効果を検討するため、CB-17ScidマウスにBalb/cマウス由来CD4+CD62L+CD25-T細胞1x10^6を腹腔内投与して大腸炎を誘導した。炎症を起こした腸管ではreal time PCRにてTh1型サイトカインIFN-γとTh17型サイトカインIL-17の上昇を認めた。また、大腸より粘膜固有層単核球を分離し、T細胞からのサイトカイン産生を検討した所、CD4+T細胞からのIFN-γ、IL-17産生が上昇していた。ScidマウスにCD4+CD62L+CD25-T細胞1x10^6と共に同数のCD4+CD25+制御性T細胞を腹腔内投与すると大腸炎誘導が抑制されたが、上記のIFN-γ、IL-17産生は共に抑制され、制御性T細胞はin vivoでTh17型大腸炎を抑制することが示された。 ヒトTh17型炎症に対する制御性T細胞の抑制効果を検討する目的で、ヒト末梢血ナイーヴCD4+T細胞よりTh17細胞の誘導法について検討した。ナイーヴCD4+T細胞をIL-1β、IL-6、IL-23、TNF-α、抗IL-2抗体、抗IFN-γ抗体存在下に抗CD3抗体/抗CD28抗体付着ビーズで刺激するとIL-17を高レベルに産生する細胞が誘導された。IFN-γ産生はわずかであり、Th17型細胞が誘導されたと考えられる。対照的にナイーヴCD4+T細胞をIL-12、抗IL-4抗体存在下に刺激すると、Th1型細胞が誘導されIFN-γを高レベルに産生したが、IL-17産生はわずかであった。マウスでTh17細胞を誘導するTGF-βの添加は、逆にIL-17産生を抑制した。 以上よりヒトTh17型細胞の誘導法が確立された。
|