研究課題
我々はIL-10KOマウスの脾臓細胞およびリンパ節細胞をSCIDマウスに移入することにより短期間に確実に腸炎を起こすモデルマウスを用いクローン病治療に用いられる成分栄養剤エレンタール[○!R]に含まれるアミノ酸成分が直接抗炎症効果を有することを証明した。さらにその中でもL-ヒスチジンが大腸炎抑制効果を示し、その機序としてマクロファージ細胞内に取り込まれたL-ヒスチジンがNFkBシグナルを抑制しTNFa産生を抑制していることが推定された。ヒト炎症性腸疾患患者の末梢血アミノ酸プロファイルの解析から健常人と比較して炎症性腸疾患患者では末梢血血漿ヒスチジン濃度が低下していること、特に活動期の患者で低下が顕著であることを突き止めた。血漿ヒスチジン濃度は臨床活動性指標やCRPと高い逆相関を示し、疾患モニタリングに有用であるとともにマウス実験の結果からヒスチジン投与による治療介入の可能性も考えられた。さらに我々は血漿アミノ酸プロファイルをコンピューター解析し数式化することにより2群間を判別する数理式を導き出すことに成功した(アミノインデックス[○!R])。これによりアミノ酸メタボロームから健常人と炎症性腸疾患患者、炎症性腸疾患患者の活動期と緩解期などの判別が高いROC AUCをもって可能となった。活動性を判別するアミノインデックス[○!R]はこれまでに用いられている臨床指標とも相関し、同一患者での経時的観察においても臨床マーカーとして有用である可能性が示唆された。
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