研究課題/領域番号 |
20590762
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 晴彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60240305)
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研究分担者 |
五藤 忠 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (40444088)
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キーワード | 非B非C肝癌 / HBc抗体 / ラジオ波焼灼療法 / Cox比例ハザードモデル / 内臓脂肪 / 非アルコール性脂肪肝炎 |
研究概要 |
本年度は非B非C肝癌の治療後再発について、HBc抗体陽性によって示されるHBV感染既往が影響を与えるか否かを検討した。HCV抗体陰性かつHBs抗原陰性で、アルコール多飲歴のない初発肝細胞癌患者62名において、根治的ラジオ波焼灼療法後の肝癌再発状況を調べ、再発に関するリスク因子を検討した。患者の初回治療時平均年齢は68.7歳で、男性が40名(65%)を占めた。HBc抗体は18名(29%)で陽性であった。観察期間中に26名に肝癌再発を認めた。Cox比例ハザードモデルを用いて解析すると、年齢(1歳につきハザード比1.07、95%信頼区間1.03-1.13)と膀の高さのCT画像上で計測された内臓脂肪面積(10cm^2につきハザード比1.08、95%信頼区間1.01-1.17)が統計学的に有意な肝癌再発リスク因子となった。HBc抗体陽性(単変量解析でハザード比1.68、95%信頼区間0.67-4.18)は有意ではなかった。本研究の対象となった肝癌患者はNASH(非アルコール性脂肪肝炎)が発癌の原因として疑われる集団であり、また、今回の解析で得られたリスク因子からみて、再発肝癌は主として異時性多中心性発癌であると考えられる。したがって、新規の非B非C肝癌発癌リスクと同様の傾向にあると考えられるが、これについてHBV感染既往の有無は大きくは寄与していないことが示唆された。一方、内藏脂肪が有意なリスク因子であることが示され、非B非C肝癌においては内臓脂肪にかかわるアディポサイトカインやインスリン抵抗性などのメタボリックな要素が発癌に関与している可能性が示唆された。
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