研究課題
昨年度までにHCV感染者において、HBV感染既往を示すHBc抗体陽性は肝細胞癌の有意な危険因子とはならないことを示したが、H22年度は非B非C肝障害における発癌危険因子について広く検討した。ALTが持続的に高値である非B非C肝障害患者163名において平均6年の観察にて17名に肝細胞癌が発生した。多変量解析では高齢、糖尿病の併存、および超音波検査上の脂肪肝所見の欠如が発癌に関する有意な危険因子であった。時間依存性共変量を用いた解析では、脂肪肝所見の消失により肝細胞癌ハザード比が9.6と上昇することが示された。脂肪肝所見の消失は血小板数の減少など肝障害の進行を示唆する変化を伴っていた。また、HBV関連肝細胞癌の治療後再発と血中HBV-DNA量との関係については、ラジオ波焼灼療法により初発病変が根治された69名について調べた。累積肝癌再発率は1、3、5年でそれぞれ26.5%、57.8%、74.3%と高頻度であった。多変量解析では初発肝癌の病変数(リスク比4.6)、トロンビン時間(リスク比3.4)とならんでHBV-DNA量(リスク比2.7)が再発の有意な危険因子であることが示され、初発肝癌と同様に再発肝癌についてもHBVのウイルス量がリスクを反映することが示された。
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Hepatology International
巻: (Published Online,掲載確定)