研究概要 |
マウス肝癌細胞株Hepa1-6を1×10^7個、C57BL/6(♀、8週齢)の背部皮下に接種し、皮下Hepa1-6肝癌モデルの作成を試みた。経時的に腫瘍径を計測したところ、15日目に最大径(直径約10mm大)の腫瘍を形成した後、漸次縮小し、25日目には、完全に消失した。一方、Balb/c無胸腺マウスに、Hepa1-6を1×l0^7個、皮下に接種した場合、Hepa1-6皮下腫瘍は漸次増大し、消退は示さなかった。このことより、C57B1/6マウス皮下Hepa1-6腫瘍の消退には、T細胞を主とする免疫応答が関与していることが示唆された。皮下にHepa1-6肝癌細胞株を接種したC57BL/6マウス(n=5)より、接種前(day 0)、接種後10日(day 10)、15日(day 15)、20日(day 20)、25日(day 25)に末梢血液細胞RNAを経時的に抽出し、DNAマイクロアレイWhole Mouse Genome 4×44K Array(Agilent Technologies)を用いて遺伝子発現プロファイルを解析したところ、非教師付階層クラスタリングによって、day0, day 25, day 10, day 15, day 20の完全なクラスターが形成された。このことは、皮下における腫瘍の増大、および消退における局所免疫応答が、全身を循環する末梢血液細胞に影響し、遺伝子発現プロファイル変化にその特徴が反映されていると考えられた。現在さらにプロファイルの特徴、およびその機序の解析を進めている。
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