研究概要 |
平成20年度までの成果 HCVの複製複合体構成蛋白を宿主蛋白とともに発現させ精製することにより、HCV増殖に必要な宿主蛋白を同定し、その宿主蛋白のHCV増殖における意義を検討するのが本研究の目的である。 1.HCV蛋白の発現 HCV NS5B蛋白をTandem affinity purification(TAP) TAGを結合させて培養細胞内に発現させた。 2.細胞内に発現させたHCV NS5Bを宿主蛋白とともにTAP法にて精製した。 3.Western blottingにより2.により精製した蛋白の結合体を分離した。 4.単離したHCV NS5B結合宿主蛋白をmass spectrometryおよびwestern blottingにより同定した。 5.HCV NS5B結合蛋白としてα-tubulin, HSP70など数種の蛋白質が同定された。 α-tubulinは細胞骨格を形成する微小管の構成蛋白であり、さまざまなウイルスの増殖に必要と考えられている。またHCV感染肝細胞内では微小管の異常な凝集が古くから観察されているがその意義はいまだ不明である。今回の研究によりHCV感染と微小管の関連がNS5Bとα-tubulinの直接結合によるものである可能性が高まり、またNS5BはHCV増殖の鍵となるポリメラーゼ蛋白であることをからこの結合がHCV増殖ににおいて重要な意味をもつことが想定された。今後NS5B,α-tubulin双方における結合部位の検索と、この結合を阻害することによるHCV増殖への影響を検討する予定である。
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