研究概要 |
平成21年度までの成果 HCVの複製複合体構成蛋白を宿主蛋白とともに発現させ精製することにより、HCV増殖に必要な宿主蛋白を同定し、その宿主蛋白のHCV増殖における意義を検討するのが本研究の目的である。平成20年度までに、Tandem affinity purification(TAP)法およびTandem mass spectrometry解析を用い、HCV NS5B蛋白と結合する宿主蛋白としてα-tubulin,HSP70など数種の蛋白質が同定された。このうちα-tubulinを対象として平成21年度の研究をおこなった。 1.HCV NS5Bとα-tubulinの細胞内局在 HCV NS5Bを発現させたHuh7細胞において、抗HCV NS5B抗体と抗α-tubulin抗体を用いた免疫組織染色をおこなったところ、両蛋白は細胞核周囲の脂質ラフトが存在すると予想される部位に同一の細胞内局在を示した。 2.免疫沈降法による結合の確認 a.HCVレプリコン発現細胞において抗α-tubulin抗体で免疫沈降し、抗HCV NS5B抗体でウエスタンブロッティングをおこない、両者の結合を確認した。 b.同様に抗HCV NS5B抗体で免疫沈降しオートラジオグラフィーをおこない、a.と逆方向でも結合が確認された。 以上1.2.の結果により、HCV NS5Bとα-tubulinは結合し細胞核周囲に共存していると考えられた。 3.今後siRNAでα-tubulin発現を抑制することによるHCVレプリコンあるいは全長HCV感染系でのHCV増殖への影響を解析予定である。また両蛋白の直接結合部位を解析予定である。
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