研究概要 |
PEG-IFN/RBV併用療法を施行した1b高ウイルス量のC型慢性肝炎74例を対象とし、治療直前に肝生検を施行し、総RNAを抽出後RTD-PCRを用いて肝内ISG15、USP18、RIG-I及びIPS-1 mRNAの発現を、GAPDHを内部controlとして定量した。ウイルス学的治療効果は著効(SVR:n=30)、再燃(TR:n=24)及び治療中HCVが全く消失しない無効(NVR:n=20)に分類した。その結果、ISG15、USP18およびRIG-Iは、NVR群で有意に高発現し、SVRでは低値であった(ISG15, USP18, RIG-I: NVR=0.8, 1.0, 0.9; TR=0.3, 0.6, 0.6; SVR=0.2, 0.4, 0.4/GAPDH, p<0.05, Fisher PLSD)。反対にIPS-1発現量はNVR群で有意に低かった(NVR=06; TR=0.9; SVR=1.1/GAPDH, p<0.05, Fisher PLSD)。多変量解析では、ISG15またはUSP18発現およびIPS-1/RIG-I比と血小板数がNVRに関与する因子であった。ROC解析ではISG15、USP18発現およびIPS-1/RIG-I比のAzは0.9以上で、治療効果予測に有用と考えられた。PEG-IFN/RBV併用療法に抵抗する難治例では、内因性IFNのup-regulationが起こっていると考えられた。本現象がウイルス変異などのウイルス側因子に関わっているか否かは今後の検討課題である。一方、難治例ではIPS-1が転写レベルでも抑制されていることが示唆され、難治要因の機序の解明に有用な情報と考えられる。
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