研究概要 |
放射線照射したマウスに、GFPトランスジェニックマウス由来の骨髄細胞を移植し、3,5-diethoxycarbonyl-1,4-dihydrocollidine (DDC)を投与することで肝内にoval cell数を誘導した。誘導されたoval cellの大部分は骨髄細胞由来であり、肝細胞ならびに胆管細胞への分化能を有した肝前駆細胞であった。EACSを用いてCD133陽性細胞と陰性細胞に分離し、その機能を解析すると、CD133陽性細胞で高い増殖能がみられた。CD133陽性骨髄細胞を、肝硬変モデルマウスに移植すると、肝機能の改善ならびに線維化の抑制が観察された。肝障害修復機構において、骨髄由来細胞が肝臓にリクルートされ、特にCD133陽性骨髄細胞が肝再生、修復に重要な役割を果たしていることが示唆された。 また、肝障害とToll-like receptor (TLR)との関連に関する研究を行った。wild typeマウスおよび腫瘍壊死因子α(TNFα)ノックアウトマウスに、D-ガラクトサミンおよびそれぞれのTLRに対するリガンドを腹腔内投与し、血清ALT値およびTNFα値、肝組織像の変化と相違について検討した。結果、TLR1/2,TLR3,TLR4,TLR9において、TNFαの増加とともに著明な肝障害が認められたことより、これらのTLRが肝炎の進展に重要な役割を果たしており、さらに肝障害誘導にはTNFαを介した免疫応答が重要である事が明らかにされた。
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