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2009 年度 実績報告書

ユビキチン化された26Sプロテアソーム会合分子ガンキリンによる肝癌発生機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20590773
研究機関京都大学

研究代表者

東辻 宏明  京都大学, 医学研究科, 助教 (60281094)

キーワード肝癌 / ユビキチン / プロテアソーム / ガンキリン / PIP
研究概要

蛋白質の翻訳後修飾のうち、ポリユビキチン化が蛋白質を分解の方向にターゲットするのに対して、リジン残基のモノユビキチン化やそのほかのubiquitin-like modifiers(ULM)による翻訳後修飾は、その蛋白質の機能変換シグナルとして機能している。システイン残基のS-nitmsylationも蛋白質の機能変換シグナルとして機能している。肝臓がん細胞株によるin vivoでのユビキチン化、nedd8化、ISG15化、S-nitrosylationを確認したところ、ガンキリン分子はモノユビキチン化、モノnedd 8化、モノISG 15化、 S-nitrosylationされていた。in vitroのユビキチン化、nedd8化、ISG 15化のアッセイ系でも同様の結果を得た。ガンキリンのモノユビキチン化、モノnedd 8化、モノISG15化をうけるリジン残基はすべて同じ16個のリジン残基のうちのN端から10番目のリジンであった。S-nitrosylationは107番目のシステインが受けていた。モノユビキチン化はconstitutivelyに起きる。モノnedd8化は酸化還元ストレス下で起こる。モノISG15化はインターフェロン刺激時に起こる。ガンキリン分子はそのほかのULM、SUMO1、2、3化やURM1化は受けなかった。S-nitrosylationは酸化還元ストレス下で起こる。野生型ガンキリンとモノユビキチン化、モノnedd8化、モノISG15化ガンキリン(C端にユビキチン、nedd8、 ISG15を一個融合したガンキリンを代替分子として実験に供した)の癌化能等を比較した。REF細胞の癌化はモノnedd8化ガンキリンのみが野生型に比べて亢進していた。モノユビキチン化ガンキリンは癌化能が野生型より抑制された。モノISG15化ガンキリンは全く差がなかった。モノユビキチン化ガンキリンはタンパク分解を受けやすく、野生型ガンキリンより不安定となった。モノユビキチン化が契機となりガンキリン分子のポリユビキチン化が早急に起こり26Sプロテアソームで分解されることが判明した。モノnedd8化ガンキリンはp53よりpRBのほうにより結合しやすく(複合体を形成しやすく)、MDM2の基質特異性を変化させ、pRBをより分解する傾向を示した。pl6INK4aのcdk4への結合阻害はなかった。転写因子NFkappaB(RelA)の活性化抑制は見られなかった。細胞内での局在は野生型ガンキリンが主に細胞質での分布を示すのに対して主に核に見られた。プロテアソーム結合タンパクとしてのガンキリンのモノnedd8化は26Sプロテアソームの機能(ペプチドやモデルタンパクの分解)を全体的に亢進した。モノISG15化ガンキリンは検討した限り、野生型のガンキリンとの差異は見いだせなかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] MDM2 is a novel E3 ligase for HIV-1 Vif.2009

    • 著者名/発表者名
      Izumi T
    • 雑誌名

      Retrovirology 6

      ページ: 1-10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of gankyrin protein expression with early clinical stages and insulin-like growth factor-binding protein 5 expression in human hepatocellular carcinoma.2008

    • 著者名/発表者名
      Umemura, A
    • 雑誌名

      Hepatology 47

      ページ: 493-502

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gankyrin oncoprotein overexpression as a critical factor for tumor growth in human esophageal squamous cell carcinoma and its clinical significance.2008

    • 著者名/発表者名
      Ortiz, C.M.
    • 雑誌名

      Int J Cancer 122

      ページ: 325-332

    • 査読あり
  • [学会発表] NEDD88ガンキリンを介たMDM2の基質特異性の変化2009

    • 著者名/発表者名
      東辻宏明
    • 学会等名
      第95回日本消化器病学会
    • 発表場所
      ロイトン札幌、札幌市
    • 年月日
      2009-05-09

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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