研究課題
「背景」私たちは、これまでアディポネクチンがメタボリックシンドロームの肝臓での表現系である非アルコール性脂肪性肝疾患(nona coholic fatty liver disease: NAFLD)の発症・進展におけるkey分子であることを、遺伝子欠損マウスの解析から明らかにしてきた。今回、アディポネクチンの抗腫瘍効果及び肝発癌、さらには肝細胞の増殖過程に及ぼす影響について検討することを目的とした。「方法1」アディポネクチンによる抗腫瘍効果を検証するために、マウス大腸癌細胞株細胞株を用いた肝転移モデルを用いた。(1)まずBALB/cマウスにアデノウイルスによりアディポネクチンを過剰発現させたマウスを作成した。対照として、LacZ遺伝子を発現させたマウスを使用した。これらのマウスに、マウス大腸癌細胞株Colon26細胞株を脾臓より投与し、2週間後における肝臓での腫瘍形成を肝重量にて評価した。(2)アディポネクチン欠損マウスに大腸癌細胞株MC-3を脾臓より投与し、4週間後における肝臓での腫瘍形成を転移の有無を評価した。対照には、C57BL6Jマウスを用いた。「結果1」予備実験の段階ではあるが、両群間に有意な差は認められず、現在さらなる条件検討を行っている。「方法2」アディポネクチンの肝細胞の細胞増殖に及ぼす影響を検証するために、70%部分肝切除術による肝再生モデルを用いた。方法としては、アディポネクチン欠損マウスに70%部分肝切除術を施行し、術後48時間、72時間、96時間後における肝再生の評価をBrdUラベリングインデックス、肝重量体重比により行った。対照としては、C57BL6Jマウスを用いた。「結果2」アディポネクチン欠損マウスにおいて、肝再生の遅延が認められた。さらに、詳細な検討の結果、この肝再生の遅延には脂肪酸代謝傷害が関与していることが判明した。(BBRC誌に発表)
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