研究課題/領域番号 |
20590775
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 雄一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30457014)
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研究分担者 |
木曽 真一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40335352)
渡部 健二 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50379244)
筒井 秀作 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10359846)
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キーワード | アディポネクチン / メタボリックシンドローム / 肝発癌 / 大腸癌 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
「背景」私たちは、これまでアディポネクチンがメタボリックシンドロームの肝臓での表現系である非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease : NAFLD)の発症・進展におけるkey分子であることを、遺伝子欠損マウスの解析から明らかにしてきた。しかしながら、アディポネクチンの肝発癌に対する直接作用については不明な点が多い。そこで今回、アディポネクチンの抗腫瘍効果及び肝発癌、さらには肝細胞の増殖過程に及ぼす直接作用について検討することを目的とした。「方法」前回の報告から引き続き、アディポネクチンによる肝臓における抗腫瘍効果を検証するために、マウス大腸癌細胞株細胞株を用いた肝転移モデルを用いた。アディポネクチン欠損マウスに大腸癌細胞株MC-38(1×10^6/mice)を脾臓経由で投与し、3週間後における肝臓での腫瘍形成を転移の有無を肝重量及び肝腫瘤数を評価した。対照には、WTマウスとしてC57BL6Jマウスを用いた。また、脾臓での腫瘍増殖も検討するために脾重量及び脾腫瘤径も両群で比較検討した。「結果」(1)KOマウスでは、WTマウスに比し、腫瘍移植後の肝重量では差がなかったが(1.595+/-0.41g vs 1.853+/-0.15g : WT vs KO)個々のマウスにおける腫瘤数(1mm以上)は、WTマウスに比しKOマウスにおいて有意に増加していた。(6+/-6.22個vs 16.25+/-4.79個:WT vs KO、p<0.05)(2)移植後の脾重量は、両群間で差を認めなかったが(2.805+/-1.51g vs 3.52+/-0.38g : WT vs KO)また、脾腫瘤径ではWTマウスに比しKOマウスにおいて有意に増大していた。(17.8+/-2.6g vs 23.5+/-1.7g : WT vs KO、p<0.05)「結論」今回の結果より、肝臓においてアディポネクチンが抗腫瘍効果を持つ可能性が示唆された。
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