研究概要 |
C型慢性肝疾患では肝線維化の進行とともに肝発癌率が高くなることが知られているが、その関連メカニズムについは明らかでない。肝細胞癌は線維肝・硬変肝に発症するので、発癌後に発育成長するには周囲の結合織を融解する必要があり、この過程に細胞外マトリックス分解酵素およびサイトカインが強く関与している。本研究ではC型慢性肝疾患での肝発癌と細胞外マトリックス代謝関連遺伝子多型を検討するものである。本年度は、IL-1B、IL-1RN、TGF-B1、MMP-1、-2-、-3、-7、-9の機能的遺伝子多型とC型肝細胞癌の病態と予後との関連を検討した。その結果、慢性肝疾患患者と比べて肝細胞癌患者で明らかな遺伝子多型頻度の差は認めなかったが、IL-1B-31 T/CとMMP-3-11716A/5Aの遺伝子多型により肝細胞癌の予後がことなっていることが示された。また、IL-10-824T/C遺伝子多型と肝線維化進行との関連を検討し, Tホモで進行が速い傾向が認められた。今後症例数を増やして、性および年齢などの肝発癌に関連する因子をマッチさせて統計解析を予定している。
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