C型慢性肝疾患では肝線維化の進行とともに肝発癌率が高くなり、肝硬変では年率7~8%と非常に高いことが知られている。ただ、肝線維化と肝発癌との関連メカニズムについは明らかでない。肝細胞癌は線維肝/硬変肝に発症するので、発癌後に発育成長するには周囲の結合織を融解する必要があり、この過程に細胞外マトリックス分解酵素が強く関与している。本研究ではC型慢性肝疾患での肝線維化進行度別での肝発癌率が異なる理由の一つに宿主側因子が関与していないか、細胞外マトリックス分解酵素(matrix metalloproteinase : MMP)、特異的阻害因子(tissue inhibitor of metalloproteinase : TIMP)、マトリックス代謝関連サイトカインの機能的遺伝子多型を解析し、肝線維化・肝発癌・肝細胞癌予後との関連を検討する。本研究はC型慢性肝炎での肝線維化・肝発癌への宿主側因子の関与を明らかにするものであり、患者管理のうえで臨床上極めて有用な情報となる可能性が高い。具体的には、C型慢性肝炎・肝硬変を対象にして、マトリックス分解酵素(MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-9)、マトリックス分解酵素阻害因子(TIMP-1、TIMP-2)、マトリックス代謝関連サイトカイン(TGF-b1、CTGF、IL-1b、IL-10)の機能的遺伝子多型を解析し、肝線維化進行度・肝発癌率との関連を明らかにする。また、肝細胞癌の予後とこれら機能的遺伝子多型との関連についても明らかにする。
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