B型肝炎ウイルス(HBV)感染者の臨床像を規定するウイルス側の要因を同定するため、当科に入院、あるいは外来に通院している無治療の無症候性HBVキャリア、B型慢性肝炎、B型肝硬変、B型肝細胞癌の患者ならびに内服治療している核酸アナログ製剤に対する耐性出現例、計50名より同意を得た後、血清を採取した。うち6例についてはDNAを単離し、A fragmentとB fragmentに分けてPCRを行い、直接シークエン法にてHBV全シークエンスを解析した。HBVゲノタイプ、サブゲノタイプについても解析した。現在解析した慢性肝炎例からの6株についてはゲノタイプCであった。上記50例の臨床データを収集している。 並行して、HBV genotype Cの2倍長のウイルス遺伝子を組み込んだプラスミドを作成し、臨床から同定されるウイルス遺伝子変異による宿主細胞への影響の解析を試みることで、臨床像と特定遺伝子配列の関連について検討する準備を整えた。さらに、HBV遺伝子発現による宿主細胞蛋白への影響を網羅的に解析するためにプロテオミクス解析、PCRアレイ解析を試みるとともに、プロテオミクス解析のための準備を整えた。 現在、全塩基配列のデータを集積しつつある。今後サンプルとデータを教室員が引き継いで、まず塩基配列データと臨床データを集積している。病態に関連する塩基配列についてウイルス遺伝子データ、臨床データがそろった時点でデータマイニングの手法により解析していく予定である。
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