研究課題
基盤研究(C)
我々は現在まで肝臓癌に生じた遺伝子の変化が肝臓癌の増殖や生物学的な悪性度に関係していると考えて研究を進めてきている。その成果の一端として第1番染色体の長腕の1q21といわれる領域に遺伝子が増幅している場所があることを示した。現在までの研究で肝臓癌においてCREB3L4(cyclic AMP responsive element binding protein 3-like 4)遺伝子が増幅かつ発現亢進していることを確認している。CREB3L4は、CREB/ATFファミリーに属する転写因子である。そこで、遺伝子増幅に伴うCREB3L4の発現亢進が肝癌細胞の増殖や生物学的な悪性度に及ぼす影響について、特にどのような下流遺伝子の転写活性を調節しているのかという観点からの検討をすすめた。その研究の過程でtranscriptional co-factorであるP300の肝細胞癌における発現が肝癌の脈管浸潤や肝内転移と関わることを見出した。さらに、P300の肝癌細胞の核において陽性の症例では生命予後が悪いことを明らかにした。また、in vitroにおける検討で、P300の肝癌細胞株における発現が細胞のepithelial mesenchymal transitionやcclinD1/beta-catenin依存性の細胞増殖に関わることを明らかにした。
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Cancer Lett
巻: 310 ページ: 140-147