研究課題/領域番号 |
20590797
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山科 俊平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30338412)
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研究分担者 |
上野 隆 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10053373)
池嶋 健一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20317382)
高島 基樹 順天堂大学, 医学部, 助教
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キーワード | オートファジー / 薬物性肝障害 / アポトーシス / ネクローシス / ROS |
研究概要 |
本年度は肝特異的オートファジー欠損マウス(Atg7^<F/F> : Mx1Cre)を用いて薬物性肝障害におけるオートファジーの役割について検討した。コントロールマウス(Atg7^<F/F>)では、アセトアミノフェン投与により電子顕微鏡観察下では肝細胞質内にオートファゴソーム増加が認められ肝組織中LC3-II蛋白発現の増加が確認された。オートファジー欠損によりアセトアミノフェン投与後の血清中ALT濃度増加や肝細胞のアポトーシスとネクローシスがともに増加した。さらにオートファジー欠損によってアセトアミノフェン投与後の肝組織中JNK活性化、Caspase3活性化と肝細胞質中cytochrome c発現が有意に増加した。単離肝細胞を用いたin vitro実験でもオートファジー欠損によりアセトアミノフェン添加後の肝細胞死は増加しROS産生も確認された。一方、JNK inhibitorやROS inhibitorにより細胞死は抑制された。以上の結果からアセトアミノフェン投与後に誘導されるオートファジーはROS産生やJNK活性化を抑制し細胞保護的に作用しているものと推測された。薬物性肝障害は近年増加してきている肝障害の一つであるが、発症機序について複雑で詳細は不明なままである。特に脂肪肝では薬剤による肝障害のリスクが増加することが報告されており、脂肪滴蓄積はオートファジー機能を障害することより、臨床的に確認されている事象がオートファジー機能障害と密接に関連しているものと推測される。本研究の結果も加味すると薬物性肝障害発症にオートファジーは重要な役割を果たしているものと強く想定され、臨床において治療的ターゲットとして有望であるものと考えられる。
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