研究課題
新規アジュバントの開発:リポソームを用いた新規アジュバントの開発については臨床で使用可能な溶媒等の検討を行った。しかしながら現時点では臨床使用可能なアジュバントの製造には至っていない。そこでこれと並行して即臨床使用可能な新規オイルアジュバントの開発を行った。高純度モノオレイン酸ソルビトール(薬添基収載)と軽質流動パラフィン(日局収載)を種々の割合で混合したものを抗原溶液と混合し、安定したエマルジョンの生成される処方(NH2)を決定した。次に、in vivoにおけるエマルジョン安定性を既存の医薬品グレードアジュバントISA51VGとマウスで比較検討した。さらに、ペプチド抗原に対する液性免疫誘導並びに細胞性免疫誘導をBALB/cマウスで検討した。液性免疫はペプチド特異的IgG抗体をELISA法で、細胞性免疫はペプチドにより誘導されるインターフェロンガンマ産生細胞をELISPOT法により測定した。その結果、NH2の免疫増強作用はISA51VGに比べ、IgG抗体産生においては劣っていたが、細胞性免疫においては優れていた。また、HCVワクチンより先行しているがんペプチドワクチンにおいて、NH2アジュバントを用いた第I相臨床試験を実施した。その結果、投与部位の有害事象の程度も従来のISA51VGをアジュバントとして用いた試験と同程度であり、その他の重篤な有害事象は認められなかった。これらのことより、新規アジュバントNH2はHCVペプチドワクチンの臨床試験においても使用可能であることが示唆された。ペプチドワクチンの臨床試験:HLA-A24陽性もしくはHLA-A2陽性のHCV感染者でインターフェロンを基本とする治療に不応答の患者計30名を対象として実施したペプチドワクチン第I相臨床試験の継続投与試験ならびに追跡調査を行った。その結果、ワクチン群30名の発がん率は観察期間2年以上でもゼロであり、発がん確率の高い進行例では発がん防止に有用である事が示唆された。
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