研究概要 |
新規油中水型(W/O)オイルアジュバントの臨床評価:新規油中水型(W/O)オイルアジュバント「NH2」のヒトにおける臨床評価を行うために、「汎HLA型対応テーラーメイドがんペプチドワクチン療法の第I相臨床試験」を各種高度進行がん患者を対象として実施した。ワクチンは24種の候補ペプチドから個々の患者の白血球型および免疫反応性に応じて最大4種選択して投与するものであり、HLA-A2, -A24,あるいは-A3(A3,A11,A31,A33)スーパータイプ陽性の17名の患者に対し実施した。その結果、投与局所の皮膚反応以外には有害事象は認められず安全性が確認された。投与ペプチドに対する免疫増強作用は、解析可能な13例中CTL反応で11例、IgG反応では10例で認められ、従来のフロイント不完全アジュバントISA51VGと同等であった(英文査読誌に論文投稿中)。 C型肝炎治療用ペプチドワクチン臨床試験の長期追跡調査:HLA-A24陽性もしくはHLA-A2陽性のHCV感染者でインターフェロン無効例29名(慢性肝炎24例、肝硬変5例うち4例は肝細胞がん既往あり)を対象として実施したC型肝炎治療用ペプチドワクチン第I相臨床試験(投与期の間の中央値は16カ月)の長期追跡調査を実施した。観察期間の中央値41ヶ月において発がん症例はゼロであった。久留米大での院内成績では肝硬変での発がん率は2年観察で20%前後であることから、発がん予防効果が示唆された(英文査読誌に論文投稿中)。 マルチHLA対応ワクチンの臨床試験実施の準備:マルチペプチド混合ワクチンを用いた肝がん再発予防ワクチンの第I相臨床試験及び継続投与試験の準備を行った。対象はC型肝炎ウイルス陽性肝がんの根治術(外科的切除および内科的根治術を含む)後症例とし、エンドポイントは、安全性、免疫反応性、および無再発生存期間とする臨床試験実施計画書および患者同意説明文書を作成、倫理委員会による審査・承認後に試験開始予定である。またワクチン製剤の製剤検討並びに安定性についても検討を行った。
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