研究課題/領域番号 |
20590802
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 晃彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (70312569)
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研究分担者 |
正宗 淳 東北大学, 病院, 助教 (90312579)
粂 潔 東北大学, 病院, 医員 (30431563)
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キーワード | 急性膵炎 / アルコール / 小胞体ストレス / 慢性膵炎 / 膵星細胞 |
研究概要 |
平成20年度はラット膵腺房細胞における小胞体ストレス負荷の影響について検討した。Sprague-Dawleyラットより膵臓を摘出し、collagenase digestion法により膵腺房を遊離した。いずれも薬剤性小胞体ストレスとして作用する、小胞体カルシウムATPase阻害剤サプシガルジンと蛋白質糖鎖負荷阻害剤ツニカマイシンの添加により膵腺房細胞に小胞体ストレスを誘導した。小胞体ストレス負荷により、UPRシグナル伝達経路のうち、主要な小胞体ストレスセンサーであるPERK、ATF6、IREIの3つの小胞体膜蛋白の活性化をWestern blottingなどにより見出した。この知見は膵腺房細胞において、小胞体ストレス負荷に対してUPRシグナル伝達経路の活性化を示すとともに、膵炎時においても小胞体ストレス応答がおこっている可能性を示唆する。 一方、アルコールによる慢性膵炎発症機序を明らかにするため、膵線維化形成に中心的役割を果たす膵星細胞に対するエタノールならびに代謝産物の作用を検討した。ヒト膵星細胞を臨床的濃度とされるエタノール、酸化代謝物であるアセトアルデヒド、非酸化代謝産物であるfatty acid ethyl esterにて処理した。エタノールならびにアセトアルデヒドはヒト膵星細胞におけるコラーゲン産生を刺激した。エタノールはIL-8産生を誘導したが、アセトアルデヒドやfatty acid ethyl esterでは、その作用は見られなかった。アルコールやその代謝産物による膵星細胞機能調節が膵炎における膵線維化形成に関与することが示唆された。
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