平成21年度はラット膵腺房細胞におけるUnfold protein response(UPR)の活性化について検した。Sprague-Dawleyラットより膵臓を摘出し、collagenase digestion法により膵腺房を遊離した。薬剤性小胞体ストレスとして作用する、小胞体カルシウムATPase阻害剤thapsigarginまたは蛋白質糖鎖負荷阻害剤tunicamycinにより膵腺房細胞を刺激した。小胞体シャペロンBinding Protein(BiP)の発現の変化をWestern blottingにより検討した。小胞体ストレスセンサーのひとつであるPERKとその下流で働くeukaryotic initiation factor 2(eIF2)の活性化を抗リン酸化抗体を用いたWestern blottingにより検討した。小胞体膜上に存在し小胞体ストレス時に働くRNaseであるIRE1による細胞質スプライシングにより活性化される転写因子XBP1の成熟型mRNAの発現量の変化をreal time PCR法により検討した。また、小胞体ストレスにおけるアポトーシスに役割を担う転写因子CHOPの発現の変化をWestern blottingならびにreal time PCR法にて検討した。これらの検討より膵腺房細胞における小胞体ストレス負荷に対してUPRシグナルが活性化することが示唆された。更に膵腺房細胞に対するthapsigargin、tunicamycin刺激が炎症シグナルの活性化などの膵炎の初期変化を誘導するか検討した。転写因子NF-κBの活性化をIκBのdegradationをWestern blottingにより検討したところNF-κB経路の活性化が示唆された。
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