平成21年度はラット膵星細胞において、培養による活性化に伴うマイクロRNAの発現変化につき検討した。Wistar系雄性ラットの右頚静脈からコラゲナーゼを灌流後、膵臓を摘出し、ナイコデンツを用いて膵星細胞を分離した。分離翌日の未だ静止期にある膵星細胞と、血清を含む培地で2週間培養し、筋線維芽細胞様に形質変換した膵星細胞からマイクロRNAを抽出した。両者間のマイクロRNAの発現プロファイルの差をラットマイクロRNAアレイにより解析した。リアルタイムPCRにより、発現の差異の定量性と再現性を確認し、培養により発現が増強または減少するマイクロRNAを同定した。 ラット膵星細胞の培養による活性化に伴い、miR-100、miR-128、miR-143の発現が上昇する一方、miR-126、miR-200の発現手低下が認められた。一方、膵癌ならびに慢性膵炎切除標本の膵線維化部位からマイクロRNAの分離、抽出を行った。同様にヒト膵癌患者切除膵よりヒト膵星細胞を分離・培養した。ラットマイクロRNAアレイにて拾い上げた発現差異のあるマイクロRNAについて、ヒト膵星細胞においても発現変化が見られるか検討し、一部につき確認した。以上より、膵星細胞の活性化に伴い、広汎なマイクロRNA発現変化がおこることを見出だした。これらのマイクロRNAによって膵星細胞の活性化や細胞機能調節が行われていると考えられた。次年度においては、これらマイクロRNAの阻害剤を用いて、機能解析を予定している
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