研究概要 |
自己免疫性膵炎は多因子性遺伝子疾患と考えられ複数の疾患感受性遺伝子の関与が推定される。感受性遺伝子についてマイクロサテライトマーカーによるゲノムワイド相関解析を施行した。有意な相関を示すマーカーとして、D1S2726、D5S410、D6S460,D10S548,D15S128,D20S186を同定した。その中からD1S2726について、30.7kb近傍のマーカーD1S0655iを用いてさらに検討し、Allele 266が同様に本疾患と相関することを認めた。100-kb近傍の有意な感受性遺伝子を検索したところKCNA3とKCNA2を同定した。KCN3について7つのSNPsで相関解析を施行し、4つのSNPsで有意な相関を認めた(rs2840381 : allele G, rs1058184 : allele A, rs2640480 : allele C, rs1319782 : allele C)(P<0.007,Pc<0.05)。7種類のSNPsを用いたPairwise LD mappingによる連鎖不平衡解析では、患者群、コントロール群とも3つのブロックに分けられ、メジャーブロックのGACC haplotypeが患者群でより有意に認められた(P=0.014,OR=2.45)。KCNA3はカリウムチャンネル蛋白Kv1.3をコードし、KV1.3はeffector memory T cell(T_<EM>)に豊富に表現されている。T_<EM>は炎症局所でIFN-γやIL4を産生し,late memory B cell(CD27+IgG+IgD-)を誘導し、IgG産生に大きな役割を果たす。従って、本疾患に特異的に認められる血清IgG4値の上昇はKV1.3表現の増加ならびにlate memory B cellの増殖による可能性が考えられた。
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