試験開始から現在まで、3名が登録された。試験は当初のプロトコールに準じて施行された。重篤な有害事象は1例も認めなかった。Case1は、64歳女性、PS:0、膵頭部癌。樹状細胞局注療法を11回施行した時点でPDが確認されたため、以後はTS-1療法を施行した。治療開始から353日間の生存が得られた。Case 2は70歳男性、PS:0、膵頭部癌。樹状細胞局注療法を8回施行した時点でPDが確認された。以後TS-1療法の予定である。治療開始から210日間の生存が得られている。Case 3は、49歳男性、PS:0、膵体部癌。樹状細胞局注療法を10回施行した現時点で、腫瘍の増大傾向を認めていない。現在まで150日間の生存が得られており、今後も試験の継続予定である。 試験計画では、10例まで登録を予定しており、平成21年度以降、7例の登録追加を予定している。また、本試験と平行して、膵癌の網羅的遺伝子解析(マクロアレイ)を施行した。網羅的遺伝子解析の目的は、膵癌の生物化学的性質を検索すること、特に治療への感受性および耐性遺伝子を検索することを目的とした。超音波内視鏡下穿刺で得られた膵癌52検体のRNA抽出を試みた。RNA抽出は、QIAGEN社RNeasy Kitを用い、プロトコールに準じてRNA抽出を行った。NanoDrop及びバイオアナライザーを用い、totalRNAの定量及び品質確認を行った。品質及び量に問題がなければtotalRNAを鋳型にcDNAを合成し、そこからビオチンラベル化したcRNAの合成をおこなった。cRNAの収量を確認し、マイクロアレイ解析を施行した。膵癌52検体のうち23検体で品質および量が十分なRNAの抽出が可能であった。そのうち、6検体に関してマイクロアレイを施行した。現時点では症例数が少ないため、統計学的解析は今後行なう予定としている。
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