研究課題
慢性膵炎は、アルコールの多飲や膵炎関連遺伝子の変異によっておこる慢性進行性炎症性疾患であり、予後は不良である。最近の研究により膵導管細胞管腔膜に発現するCFTRクロライドチャネル遺伝子の変異は膵炎発症に関わる因子として同定されてきたが、何故遺伝子変異の保因者では膵炎発症率が上昇するのかについては不明である。そこで本研究では、CFTR遺伝子の発現の減少が膵導管細胞に機能にどのような影響を与えるのかについて検討した。自己免疫性膵炎患者の膵導管細胞を抗CFTR抗体及び抗アクアポリン1抗体で免疫染色を行った。その結果、自己免疫性膵炎患者では、CFTRクロライドチャネルは大部分細胞質に分布しており、細胞膜への輸送が障害されていた。これらの患者では、外分泌試験により導管細胞からの水と重炭酸イオン分泌が障害されていた。導管細胞でのCFTR蛋白の細胞質への誤局在は、導管細胞からの水と重炭酸イオン輸送不全の原因と考えられた。更にステロイドで治療後の膵炎では、治療前に認められたCFTRクロライドチャネルの細胞質での誤局在が改善しており、大部分細胞膜に分布するとともに導管細胞からの重炭酸イオン分泌が改善していた。即ち、導管細胞においてCFTRの細胞膜での発現量が水と重炭酸イオン分泌機能を決定する因子であることが明らかとなった。
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