研究課題/領域番号 |
20590807
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
洪 繁 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90402578)
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研究分担者 |
石黒 洋 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (90303651)
山本 明子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (60402385)
後藤 秀実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10215501)
水野 伸匡 名古屋大学, 腫瘍免疫部, 研究員 (80399592)
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キーワード | 慢性膵炎 / CFTR / 導管細胞 / アクアポリン水チャネル / 膵石形成機序 / 膵炎発症機構 |
研究概要 |
慢性膵炎は、アルコールの多飲や膵炎関連遺伝子の変異によっておこる慢性進行性炎症性疾患であり、予後は不良である。最近の研究により膵導管細胞管腔膜に発現するCFTRクロライドチャネル遺伝子の変異は膵炎発症に関わる因子として同定されてきたが、何故遺伝子変異の保因者では膵炎発症率が上昇するのかについては不明である。そこで本研究では、CFTR遺伝子の発現の減少が膵導管細胞に機能にどのような影響を与えるのかについて検討した。ヒトの膵導管細胞のモデルであるモルモットの単離膵導管細胞にCFTR遺伝子に特異的な二本鎖RNAを導入することにより、CFTR遺伝子のノックダウンを行った。その結果、モルモットの膵導管細胞では、CFTR蛋白の発現が約40%に減少すると共に導管細胞からの水分泌が半分に減少した。更に導管細胞の水チャネル蛋白であるアクアポリン1の蛋白の発現も約45%に減少していたことから、CFTRの細胞膜での発現低下は、直接イオン輸送機能を障害すると共に水チャネルの発現を減少させることで、導管細胞からの水輸送を減少させることが明らかとなった。ヒトの慢性膵炎でも、CFTRチャネルの細胞膜での発現が著明に減少しており、さらに導管細胞からの水輸送が障害されていること我々は報告した。慢性膵炎におけるCFTRチャネルの発現減少は直接ヒトの慢性膵炎での膵石形成機序に関わることが明らかとなった。また膵石が形成されることでCFTR機能不全は膵炎発症に関わることも解明した。
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