研究概要 |
慢性膵炎は一般に反復する腹痛から始まり、徐々に膵内外分泌能が低下していく病態を呈し、非可逆性の進行性疾患と考えられており、早期診断及び早期治療が望まれる。最近、新規ケモカインのFractalkine/CX3CL1が、慢性炎症において関与していることが判明した。そこで、最初に、ヒト慢性膵炎におけるFractalkine血中濃度の上昇が早期に認められることを明らかにし、早期慢性膵炎のマーカーとして提唱した。次にラット慢性膵炎モデルを用いて、膵星細胞がFractalkineの膵内産生源であることを明らかにした。In vitroで感染類似刺激による膵星細胞からのFractalkine分泌誘導を明らかにした。さらに、PMAおよびエタノールが相乗的にFractalkine分泌を促進することを明らかにし、これらにPKR,PKCなどのProtein kinaseおよびMMP、ADAMなどのMetalloproteaseが関与することを明らかにした。以上より、慢性膵炎の病態、特に進展早期にFractalkineが関与していることが示唆された。
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