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2010 年度 実績報告書

消化器癌における癌幹細胞の同定、分離および生物学的特性の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20590809
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

樋口 肇  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20306682)

キーワード癌幹細胞 / アポトーシス / EMT / side population
研究概要

消化器癌細胞株における癌幹細胞分離・培養及び機能解析に関する検討を行った。膵癌細胞においては、side population (SP)細胞が非SP細胞と比較して、(1)腫瘍形成能及びコロニー形成能が高いこと、(2)抗がん剤(5-fluorouracil, cisplatin)あるいはアポトーシス誘導分子(tumor necrosis factor-related apoptosis inducing ligand, TRAIL)に対する抵抗性が高いこと、(3)in vivo転移モデルにおける転移能及びin vitro invasion assayにおける浸潤能が高いこと、(4)転移浸潤の過程において重要なプロセスであるepithelial-to-mesenchymal transition (EMT)を起こしやすい性質を有することを明らかにし、報告した。さらに、肝癌細胞においては、既存の癌幹細胞マーカーであるCD133陽性細胞の分画中にSP細胞と非SP細胞が存在することを見出し、CD133陽性細胞群の中でもSP細胞のみが高いコロニー形成能や腫瘍形成能をもつ癌幹細胞分画であることを明らかにした(発表準備中)。また、膵癌SP細胞の転移、浸潤、EMTは、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell, MSC)との共培養により強く誘導されることを見出し、現在MSC由来の諸因子によるEMT誘導の機序を解析している。癌幹細胞は腫瘍を構成する癌細胞のうちのごく一部の細胞群であり、自己複製能および分化能を有し、アポトーシス抵抗性を有するため腫瘍の再発に大きな役割を果たす。本研究の結果により、遠隔転移や局所浸潤においても癌幹細胞が重要な役割を果たすことが示唆された。また、癌幹細胞の転移、浸潤、EMTには、間葉系細胞由来の因子が重要であることが示された。癌根治のため、あるいは癌進展抑制のための治療戦略として、癌幹細胞あるいは間葉系細胞を標的とした治療の重要性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] DNMT1 and DNMT3b silencing sensitizes human hepatoma cells to TRAIL-mediated apoptosis via up-regulation of TRAIL-R2/DR5 and caspase-82010

    • 著者名/発表者名
      Kurita S, et al.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 101 ページ: 1431-1439

    • 査読あり

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公開日: 2012-07-19  

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