研究概要 |
1)臨床的検討 (1)AIP、SC-AIP、PSC、他の慢性膵炎の各患者および健常人に対して、血清IL-6,IL-10,IL-17,TGF-βの測定をELISA法にて行ったが、いずれにおいても差異は認められなかった。 (2)末梢血のTh17細胞には差異を認めなかったが、制御性T細胞(Treg)とIL-10産生T細胞数はコントロールに比して増加していた。 (3)膵・胆管・肝組織の検索でも、明らかに多いTregの浸潤を認めた。 2)基礎的検討 胸腺摘出マウス、poly-IC投与による自己免疫性膵炎モデルマウスの作成ならびに自己免疫性膵炎自然発症WB/Kobラットの病理組織学的・免疫学的検討を行った。 (1)胸腺摘出マウス、poly-IC投与自己免疫性マウスには血中自己抗体として抗CA-II抗体、抗lactoferrin抗体、抗PSTI抗体を高率に認めた。 (2)膵・胆管・肝組織における病理組織学的検討ならびにTh1・Th2バランスをIFN-γ,IL-4,IL-5、のプライマーを用いてreal time PCRにて検討した。病変初期においては、IFN-γの発現増強を認めるもののIL-4,IL-5の発現は殆ど認めず、Th1優位であったが、数か月経過するとIL-4,IL-5の発現増強も認めTh2免疫も誘導された。さらに、セルレイン膵炎によるコントロール群に比して、明らかなFoxP3陽性細胞(Treg)の浸潤も認めるとともに、IL-10の発現増強を認めた。 以上より、Tregの増加、IL-10発現増強が自己免疫性膵炎の病態に関与することが示唆された。
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