心房リモデリングに対するベプリジルの臨床での有効性は6割と限界があり、残りの症例の洞調律化は困難である。そこで新たにリモデリング抑制作用が報告されているソタロールの効果を検討した。ソタロールによるリモデリングからの修復効果をイヌ心房高頻度刺激モデルを用いて、電気的、機械的、構造的要因に分け、分子レベルの変化を含めて解明した。心房高頻度刺激で短縮した心房不応期をソタロールは再度延長し、心房細動の誘発と持続を抑制した。しかしこれらの効果の背景としてL型CaチャネルやItoチャネルのmRNAの発現には有意な変化を伴わなかった。また心房細動頻脈による心機能抑制に対するソタロールのβ遮断作用の増悪作用も認められなかった。構造的リモデリングについては間質線維化の程度を評価したがソタロールによる有意な変化は認めなかった。以上からソタロールは心房細動頻脈による軽度の心不全状態のリモデリングにも有効な可能性が示唆された。
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