研究概要 |
心筋梗塞によるラット心不全モデルにおいて、血圧、活動量および自律神経活動の概日リズムを評価するため、腹部大動脈に挿入した超小型血圧テレメーターから送信された動脈圧波形をA/D変換し、IOOOHzサンプリングで24〜48時間連続的に記録した。無拘束状態での心不全ラット(n=8, 左室拡張末期圧18.2±7.4 mmHg)の平均血圧(MBP)、心拍数(HR)、活動量(LOC)は、12時間毎の夜間の活動期に上昇しており(MBP : 107±11 (SD) vs. 105±11mmHg, p<0.05 ; HR : 346±23 vs. 309±24bpm, p<0.01 ; LOC : 38±42 vs. 58±25a. u., p<0.01)、夜行性のラットの日内リズムが観察できた。心拍および血圧から得られたスペクトル解析の結果、交感神経活動を反映する拡張期血圧の低周波成分(LFdp)はラットの覚醒早期に一過性に亢進し、早朝のモーニングサージを認めた(LFdp : 801±324 vs. 602±157 mmHg2/Hz, p<0.05)。また交感神経機能の亢進と二酸化炭素(CO2)化学反射感受性の関連を検討するため心不全ラットのケージ内に1時間ごとに13%CO2を自動注入し、CO2負荷中の心拍・血圧反応をスペクトル解析したところ、心不全ラットではCO2に対するゲインが入眠期0.74±0.54に対し、覚醒早期1.72±0.94と有意に増大しており(p<0.05)、覚醒早期にCO2に対する反応が亢進していることがわかった。 さらに早朝の交感神経活動亢進を抑制する目的で、心不全ラットにアミオダロンを経口投与(50mg/kg/day)したところ、早朝のLFdpが30.2%抑制され、アミオダロンにより早朝の一過性交感神経活動の亢進を是正できることがわかった。
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