研究課題/領域番号 |
20590817
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
井上 博 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (60151619)
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研究分担者 |
平井 忠和 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (10303215)
城宝 秀司 富山大学, 大学病院, 助教 (90334721)
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キーワード | 心不全 / 交感神経活動 / 化学反射感受性 / 概日リズム |
研究概要 |
ラット心不全モデルにおいて、超小型血圧テレメーターを腹部大動脈に挿入し血圧および自律神経活動の概日リズムを評価した。自律神経活動の概日リズムは大動脈圧波形をA/D変換し、1000Hzサンプリングで24~48時間連続記録し、交感神経活動を反映する拡張期血圧の低周波成分(0.15-0.79Hz:LFdp)と副交感神経活動を反映する心拍数の高周波成分(0.8-3Hz:HFhr)により評価した。無拘束状態でのラットの平均血圧、心拍数は、夜間の活動期に上昇し、心不全ラットでは覚醒早期に一過性に交感神経活動(LFdp)が亢進し、副交感神経活動(HFhr)は低下していた(p<0.05)。この一過性交感神経機能の賦活は、中枢性二酸化炭素化学反射感受性と関連しており、1時間ごとに13%二酸化炭素負荷をおこなった検討では、心不全ラットの早朝覚醒期の交感神経活動の亢進程度と睡眠期の二酸化炭素化学反射感受性(CO2負荷によるLFdpの変化量)と有意な相関(r=0.74,p<0.01)を認めた。さらにあらかじめ10分ごとの短時間の間歇的低酸素(10%02)に暴露した心不全ラットでは、二酸化炭素負荷に対してLFdpはさらに22.4±9.1%(p<0.05)増加した。以上のことから周期的低酸素がさらに中枢性二酸化炭素化学反射感受性を介して交感神経系を賦活させる可能性が示唆された。この早朝覚醒期の交感神経活動の賦活はアンジオテンシンII受容体拮抗薬(テルミサルタン:1mg/kg/day)経口投与により抑制されたことから、心不全においてアンジオテンシンII受容体拮抗薬が中枢性二酸化炭素化学反射感受性を介する日内リズム異常の是正に有用であることがわかった。
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