血管内皮前駆細胞捕捉ステントの開発により、自己化ステントの構築を目指し、研究を実施してきている。昨年度からの引き続きとして、動物モデルにおけるステント植え込みの各種至適条件を再検索することために、ラット頚動脈より小径通常型ステントおよび内皮前駆細胞捕捉ステントの植え込みを継続的に実施した。植え込み部位・植え込み時の留意点・植え込み期間の差異を把握し、ステント内に補足された細胞が存在するか否か、内膜形成の差異、ステント周囲の組織に及ぼす影響等を免疫生化学的(CD34、VEGF2受容体抗体(KDR)等を使用)に検討を行った。また、ステント内面を電子顕微鏡にて視覚的に評価。複数頭の結果から、捕捉されうる細胞数が不十分・不確実であったため、ステントコーテング剤に係る人工細胞外マトリックスの最適化、VEGF固定量の変更、固定化法の改良を念頭に繰り返し実施した。内膜面のコンプライアンスによる内膜肥厚抑止の程度に注目し、内腔層設計の改良を昨年同様に継続し、その重要性を再確認した。次に、考慮される事項は、ステント留置後の非血栓性であるが、構造の見直しによる再設計を計画中である。内皮あるいは内皮前駆細胞のハイブリッドステントの移植実験の結果、組織構築をin situで前駆細胞を捕捉して形成できれば、臨床応用可能なステントが作成しえたこととなり、循環器領域に大きなインパクトを与えると予想できる。
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