臨床応用を見据え、ヒト末梢血中の血管内皮前駆細胞の性状評価を、動脈硬化症例と健常人とで比較することにてある傾向が見出された。また、主目的の血管内皮前駆細胞捕捉ステントの改良・設計・開発により、自己化ステントの構築を目指し、検証を積み重ねてきた。一昨年度から引き続き、動物モデルにおけるステント植え込みの各種至適条件を再検索するために、小径通常型ステントおよびコーティング内容の異なる数種類(内皮前駆細胞捕捉ステント)のステント植え込みを継続的に実施した。コーティングの異なるステントはCD34抗体コーティング、VEGF受容体抗体コーティング、VEGF固定化コーティングステントを各々作製した。植え込み期間の差異(48時間モデル、2週間モデル)、ステント内に補足された細胞が存在するか否か、新生内膜増殖の差異(断面による)、ステント周囲の組織に及ぼす影響等を免疫生化学的(CD34、VEGF2受容体抗体(KDR)、VWF等を使用)、組織学的に検証を重ねてきた。また、ステント内面を電子顕微鏡にて視覚的に評価した。通常型ステント植え込み群に比較し各コーティングステント植え込み群において、新生内膜の増殖が抑制されている傾向がみられた。臨床応用を視野に安定性、安全性の評価として、留置後血行動態の破綻はなく、急性血栓閉塞を発症しドロップアウトとなった症例はなく、安全性のあるデバイスに成りうる可能性が示唆された。
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