研究概要 |
平成23年度は下記の3つの点でそれぞれ成果をあげた。 高知県心筋症ネットワーク:平成16年度に高知県内の基幹病院を中心に心筋症ネットワークを構築した。平成23年度末までに肥大型心筋症患者は290名の登録が行われた。現在、フォローアップの臨床データを集積・解析中である。 心筋症の臨床病型:肥大型心筋症の病態評価について、バイオマーカーを用いた検討を行った。肥大型心筋症における心筋傷害の評価として血清心筋トロポニンI値に注目し、脳性ナトリウム利尿ペプチドと組み合わせることにより本症の心血管イベントに有用であることを示した。(Kubo T, et al.Circ J 2011;75:919-926.)。また、肥大型心筋症におけるメタロプロテナーゼ値やテネシンCの意義についても報告を行った(Kitaoka H, et al.J Cardiol 2011;58:261-265、Kitaoka H, et al.J Cardiol 2012;59:209-214)。心臓超音波検査で得られたデータからは、拡張型心筋症における逆リモデリングの経過について報告し(Hoshikawa E, et al.Am J Cardiol 2011;107:1065-1070)、肥大型心筋症の予後予測に組織ドプラが有用であることを報告した(Kitaoka H, et al.J Am Soc Echocardiogr 2011;24:1020-1025)。 遺伝子解析:肥大型心筋症の病因遺伝子スクリーニングを施行した。5つのサルコメア遺伝子を解析し、本邦では初となる重複遺伝子変異について報告した(Kubo T, et al.Circ J 2011;75:2654-2659)。また、多施設共同の遺伝子解析では、我が国における家族性肥大型心筋症家系のサルコメア遺伝子変異の頻度とその分布を明らかにした(Otsuka H, et al.Circ J 2012;76:453-461)。
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