研究課題/領域番号 |
20590831
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
折原 弘治 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (90457664)
|
研究分担者 |
濱崎 秀一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (10315434)
石田 実雅 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30444889)
鄭 忠和 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (10163891)
|
キーワード | トール様レセプター2 / 動脈硬化形成 / 動脈硬化性疾患 / 危険因子 |
研究概要 |
トール様レセプター群(TLRs)は、分子のパターンを認識し、自己・非自己(病原体)の識別を行い、その後の自然免疫応答の誘導に重要な因子である。われわれは、以前、冠動脈の有意狭窄を有した患者の末梢単球膜上に発現しているTLR2レベルは、健常者のそれに比べて高いことを報告している。今回の研究の目的は、このTLR2高値が、周知であるところの危険因子(喫煙習慣、糖尿病、高血圧、高脂血症)とは独立して、動脈硬化形成の一つのリスクファクターとみなすことができるか否かを検討することであった。末梢循環血中単球膜上のTLR2レベルに関しては、標準検量線を作成し、算出される数値に普遍性をもたせたフローサイトメトリー測定系(以前、われわれが開発した測定系)を用いて測定され、108名の動脈硬化性疾患(狭心症、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症)を有する患者(動脈硬化性疾患群)、および、性、年齢でマッチングされた70名の動脈硬化性疾患をもたない患者(コントロール群)において解析を行った。結果、動脈硬化性疾患群では、単球膜上のTLR2レベルは、そのコントロール群に比べて、有意に高かった。更なる解析の結果、TLR2レベルはその他の危険因子とは独立しており、順序ロジスティック回帰分析によれば、動脈硬化性疾患に対して有意に寄与しているものであった。単球膜上でのTLR2高値は、新たな動脈硬化危険因子の一つであることが示唆された。生体におけるTLR2高値の制御に関しての検討では、in vitoro研究において、Th1サイトカインの一つであるTNF-αが生理的濃度範囲の刺激でTLR2レベルを上昇させる作用をもち、Th2サイトカインのIL-4、IL-5がその発現量を半減させる能力を有することが認められた。
|